何もないな誰もいないな

先日かつての仕事仲間がベトナムに転勤になるのとのことで壮行会をやりました。

 

普段海外転勤と聞くと「ウォシュレットないじゃん?」的な感想が先に来て所謂「大変だね」という気持ちがけっこうあるのですが、ベトナムに関してはちょっとうらやましいなと感じたのでした。

 

そう、ベトナム、そこはわたくしが初めて一人で海外旅行をした国でありなかなかの洗礼を受けた国でありました。

 

ベトナムと聞くと今でもあの「アイーンおじさん」との思い出が蘇ってくるのです。

 

12年前の春休み…大学一年から二年にあがる人生でも最も能天気な時期にわたくしは一人ベトナムに旅立ったのでした。

 

当時は「一人で海外旅行に行く」というのがけっこう流行っており、だいたい帰国すると現地で買ったダサイTシャツを着て大学で「一皮むけた」感を出すボンクラが多数いたわけですがわたくしも漏れなくそのボンクラの1人だったわけです。

 

選択したルートはホーチミンベトナム)インのシェムリアップカンボジア)アウトというと「見えない自由が欲しくて」旅だった割にはもう無難極まりない、個性を求める没個性の典型みたいなものでした。

 

いざ現地につくとそれまでは散々ビビッてたもののベトナム自体は治安もよく「ドン大杉ワロタww富豪爆誕!!」「市場の果物おいしいーね!」「食事も安いしおいしーね!ガハハ!」とめちゃくちゃ満喫してたのです。

 

基本「時間はあるけど金はない」旅ではあったのでひたすらその辺を歩き回ってたのですが、その時フッとわたくしを見つめる視線に気が付いたのです。

 

視線の方向に目を向けると1人の原付に乗ったおっさんが全力で当方に手を振っていました。

 

「ついに来たか…渡航する前にめちゃくちゃ読んだ『地球の歩き方』に書いてあった『市内のバイクタクシーに乗るのは危ないので止めましょう』のノウハウを生かす時が…」

 

と思い目を伏せ華麗におっさんを無視して通り過ぎようとすると

 

「…イーン!…イーン!」

 

とおっさんが何か叫んでいたためフッとおっさんを見るとなんとおっさんは

 

「アイーン!アイーン!」

 

とひたすら全力で志村けんの「アイーン!」を当方に向かって繰り出して来るのでした。

 

一人旅であり現地に知り合いもいなかったので数日ではあるものの「完全に日本語を聞かない」生活をしていたため当時日本ですら見ることがない志村けんの物まねに不意をつかれすぎて爆笑してしまったわたくしでありました。

 

もうこうなると完全に負けですね。

 

おっさんの「ガイド付きで2,000円」みたいな条件にOKを出して、もろもろ案内をしてもらいおっさん指定の店でガッツリ買物をして、最後にキッチリ「お代は延長加味して5,000円」とボラれて帰宅したのでした。

 

「まあ異国で原付ビュンビュン飛ばすのは楽しかったけど結局ボラれたなー」と当時は若干ヘコんでたんですが、今冷静になって考えるとおっさんすごいですよね。

 

どう考えても高等教育とか受けてないのに交渉に必要な日本語やら英語は話せるしきっちり外国人からお金を得ているわけで。

 

今後の日本の成長余地として「インバウンド」は欠かせないものになり、わたくしも何かしら事業をやろうと思っておりますがその時にはおっさんくらいのバイタリティをもってきっちり稼ぎたいなと思います。

 

おっさんありがとう!けっこう儲かったと思うからおっさんが日本来た時は俺がガッツリボッタくるわ!(違う)